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一般社団法人日本カラーライトセラピー協会 2017年9月1日ニュース

色光の生理的・心理的効果に関する研究

早稲田大学人間科学部 郭洋氏の修士論文より

論文主旨のみのため、具体的な検証内容、詳細は定かではありませんが 単なる色ではなく「色光」を用いた実験であることは興味深いです。

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1)研究目的 心理学の中のクラシックなテーマとして色に関する研究は多くされていたが、 近年、色の生理的効果に関する研究が少ないということも事実である。 この事実に着目し、色光が人間に与える生理的・心理的効果及び両者の 関連性を検討することを目的とした。

2)研究方法 刺激: Visual Stimulus Generatorとプロジェクターにより投影した 赤、黄、緑、青、白の5種類の色光を用いた。

対象者: 早稲田大学人間科学部及び人間科学研究科に在籍している 20代男女大学生、大学院生20名。

実感装置: ①液晶プロジェクター ②Visual Stimulus Generator ③リアプロジェクションスクリーン ④BIOPAC「MP150systems」 ⑤血圧計 ⑥体温計 ⑦漏斗とチューブ

手続き: ①暗室にて被験者に極電、センサーを装着し、楽な姿勢で椅子に腰掛けさせ、暗順応をさせた。 ②被験者前方にリアプロジェクションスクリーンを置き、その背後からVisual Stimulus Generatorと 液晶プロジェクターを用いて色光を投影した。 ③実験者の合図で被験者を開眼させ、被験者に色光が投影された スクリーンを見せながら 質問アンケートを提示し、2分以内に記入させた。 ④被験者を2分間静座させた。 ⑤3分以内に被験者に血圧と舌下体温を測定した。 ⑥被験者に唾液を舌の下に溜めるように指示し、 3分以内に漏斗とチューブを用いて 溜まった唾液を収集した。 ⑦10分後に被験者を90秒閉眼させ、刺激の色光を変えた。 実験者が合図し、被験者を開眼させ、次の色光刺激を提示した。 1人の被験者にはランダムに5色を提示し、全ての色に対する反応のデータを記録した。

分析: 収縮期血圧、拡張期血圧、舌下体温、脈拍間隔時間、呼吸間隔時間、3分間唾液分泌量の 測定結果を解析し、自律神経系の活動を分析した。脳波のα波含有量を解析し、の活動を分析した。 また、先行研究に基づき選出した15語4段階の気分評定語群と9対5段階の印象評定語群を用い、 異なる色光に対する気分と色光に対する印象をSD法を用いて評定させた。

3).結果と考察 生理的効果: ①収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍間隔時間の水準は色光により、有意に変化することが示唆された。 その中では、赤の色光環境下、収縮期血圧と拡張期血圧の水準が高まり、3分間唾液分泌量と 脈拍間隔時間の水準が下がる傾向がみられた。この結果により、赤の色光は心臓の脈動促進、 血圧上昇、消化活動の抑制の生理的効果があることが示唆された。 ②被験者20名の脳波を国際10/20法に準じて単極誘導法で測定した結果、同じ色光環境下でも脳波の 個人差が大きかったものの、α波含有率は色光に影響されることが示唆された。 平均α波含有率は測定部位の前頭部から後頭部にかけて増加する傾向が認められた。 また、黄の色光環境下のα波含有率は多くのチャンネルにおいて有意差が見られたことにより、 黄の色光環境下ではα波含有率が有意に高まる傾向が認められた。

心理的効果: ①色光環境下の気分評定結果に因子分析(主因子法、直交バリマックス回転)を行った結果、 「RELAX」、「TIRED」、「ACTIVE」の3因子が抽出された。 この3因子を用いて色光環境下の気分を評定したところ、異なる色光環境下において 気分変化が見られた。 ②色光に対する印象評定結果に因子ぶんせき(主因子法、直交バリマックス回転)を行った結果、 「PLEASANT」と「CALM」の2因子が抽出された。この2因子を用いて色光に対する印象を評価したところ、 異なる色光に対し、印象の差異が見られた。

色の生理的・心理的効果の関連性: ①自律神経系機能検査による生理的指標と気分評定、印象評定による心理的指標の測定結果において 一致が見られ、赤の色光の生理的効果と心理的効果は一致することが示唆された。 ②黄の色光は気分を愉快にさせ、快適な印象を持たせる効果はα波の喚起と関係する可能性があると 考えられる。

4)結論 本研究では色光の生理的・心理的効果について検討した。その結果、異なる色光がそれぞれ人間の 生理・心理に特定の影響を与えることが示唆された。 本研究で明らかになった純色の色光の生理的・心理的効果の結果を有効に整合し、発展させ、医療に応用すれば、生理的・心理的疾病を補助治療することができると考えられる。 また、色光の生理的・心理的効果を生活環境で積極的に応用し、生活の快適性を求め、「well being」 (より良く生きる)という人間と環境の共生理念の実行に役立つと考えられる。

 

2017.10.14